■ 軟骨魚類プティコドゥスの歯を発見

 2000年(平成12年)10月17日、大久町大久鶴房147-2の、いわき市アンモナイトセンター体験発掘場で、四倉中1年三浦祐子さんが化石を発見した。この時、インストラクターをしていた高橋紀信さん(いわき自然史研究会顧問)が、化石をクリーニング。鈴木千里さん(同会代表)とともに鑑定し、軟骨魚類プティコドゥスの歯の化石と判断した。国立科学博物館の名誉研究員・上野輝彌博士も、この鑑定を支持した。三浦さんは学校の体験学習で訪れていた。

 名称は「プティコドゥス ラティシムスの歯」。産出地層は、双葉層群足沢層。時代は、中生代白亜紀後期下部コニアシアン階で、約8,700万年前。プティコドゥスの仲間は、口の中に歯が「石畳」を敷いたように並んでいて、上あごも下あごも100本を超えるといわれる。歯の化石は世界の主に中生代白亜紀の海成層から発見されていて、貝やアンモナイト、甲殻類などを食べていたと考えられる。中生代の終わりに恐竜やアンモナイトと一緒に絶滅した。古いタイプのサメといえる。

 市アンモナイトセンターでは、約1億6,000万年前に現れた新しいタイプのサメの歯の化石は見つかっているが、古いタイプは初めて。双葉層群でも初。日本では、北海道や九州など7つの採集報告があるが、本州の白亜紀からも初とみられる。

高橋紀信さんの描いた原図

発見された
「プティコドゥス ラティシムスの歯」 

 

 ■ 第23回「吉野せい賞」選考結果

◎吉野せい賞該当者なし
◎準賞
小説『ロッキング・デイズ』  作者:横山千秋
【内容】
トモコは高校生。進学校に進みながらも与えられた道を歩むことに納得できない彼女は、同じく高校生であるジュンとキョウヘイと3人でロックバンド「ハート・シェイプト・ノイズ」を結成し、メジャーデビューをめざしている。しかし、3人の音楽観の違い、活動費の捻出、そして父親の反対、サッカーをするため県外の高校へと進んだ恋人との別れなど、さまざまな問題の前に「ハート・シェイプト・ノイズ」は瓦解する。そして最後の演奏会を終えた後、3人はそれぞれの道を歩むことを決心する。
【選評】
・ストーリーに破綻なく、90枚の作品を仕上げた力量は大いに評価される。
・トモコ、ジュン、キョウヘイ、3人それぞれの心情が、エネルギッシュなテンポの良い文章で綴られている。
・あまりにも狭い視野が気になった。その分、恋人との別れや父親とのやりとりが類型的になり、作品を甘いものにしてしまった。
【作者】
本名。いわき市常磐西郷町岩崎。いわき光洋高校2年。17歳。

 

◎準賞
ノンフィクション『いわき断章』  作者:鈴木洋
【内容】
いわきに産まれ育った私が、かつてこの町の光景を、体験を通して描いた作品。旧制中学校生であった時に体験した空襲、そして終戦を描いた1章と、戦時中から戦後にかけての炭砿の様子を綴った2章とからなる。
【選評】
・文章は丁寧かつ正確性に優れ、また自らの体験を淡々と簡潔に描ききっており、貴重な自分史的地域史となった。
・描写が作者の体験ないし記憶の範囲内にとどまってしまった。一つひとつの事象についてもう少し掘り下げたものが欲しかった。
【作者】
本名。いわき市常磐湯本町天王崎。自営業。69歳。

 

◎奨励賞
小説『ケヤキの丘〜向日葵が咲く日〜』  作者:小野あゆみ
【内容】
中学1年生の「僕」が、去年亡くなった祖父の思い出、そして、父の転勤を契機に新たな1歩を踏み出す過程を描いた小説
【選評】
・中学生の心情が素直な文章で生き生きと描かれ、夢のある作品となった。
・ストーリーの展開もなめらかで読みやすい作品となった。
【作者】
本名。いわき市平赤井字大根内。磐城第一高校2年。16歳。

 
 ■ いわき市新規指定文化財(平成12年4月28日付)

種別

有形文化財(工芸品)

名称及び員数

絹谷諏訪神社の祭礼幕 1幅

所在地

いわき市平絹谷字諏訪作200

所有者

いわき市平絹谷字諏訪作200
宗教法人 絹谷諏訪神社(代表役員・宮司 佐藤典久)

説明

 縦2.825メートル、横11.39メートルの手織り木綿生地の大幕。天保2年(1831)、笠間藩領泉崎村(現平泉崎)の染め物職人・松本仁左衛門が、絹谷村(現平絹谷)から依頼されて染めた。

 構図は、講談などでおなじみの「富士の巻狩」。仁田四郎忠常がイノシシを仕留めた一幕を描いている。当初は村内で行う芝居や獅子舞といった祭礼に使われていた。現在は芝居は行われておらず、同神社に奉納される秋の獅子舞の際、楽屋と踊り場の仕切りに使われている。

 友禅染で、手法は秀逸。伝統的な丁寧さが江戸時代の特徴をよく示し、地元染師の腕の確かさを見ることができる。制作者、制作年、奉献神社の分かる珍しい大幕として貴重。


種別

天然記念物

名称及び員数

下桶売の種まきザクラ(指定面積314平方メートル)

所在地

いわき市川前町下桶売字城木坂93、94

所有者

いわき市川前町下桶売字城木坂62-1  新妻一子

説明

 樹高は21メートル、胸高の直径は1.2メートル。植栽されたものと思われ、形質からみて種類はエドヒガン。

 市内では、大久、遠野、川前などでエドヒガンを「種まき桜」と呼んでおり、開花の時期が稲の播種時期(作物の種をまく時期)とほぼ一致するため、太陽暦でなかった時代に種まきの基準となった。自然のエドヒガンは、山林伐採の影響で市内でも少なくなっており、この種まきザクラは市内のエドヒガンの中でも最大。住民の生活に密接なかかわりを持っていた貴重な桜。

 
 ■ 国指定史跡 中田横穴

 中田横穴は、平沼ノ内字中田の県道小名浜・四倉線沿いにある。昭和44年1月、県道の工事中に偶然、発見され、昭和45年5月11日、国の史跡に指定された。

 横穴は、海岸線から約1.2キロ離れた丘陵の崖につくられ、前庭部、羨門部、前室、後室から成っている。入口からの奥行きは6.67メートル、一番奥の部屋の後室は、幅2.8メートル、高さ2.29メートル。床は四隅が丸くなった方形をしていて、天井はアーチ状になっている。前室は後室より小さく、排水のための溝がある。

 後室の周囲の壁には、赤と白の三角の文様が三段にわたって描かれ、国内を代表する装飾横穴墓のひとつ。三角文は一辺が約40センチで、輪郭線が刻まれている。三段の上の段には赤色の倒立三角形が、中段と下段には正位の三角形が描かれ、下段の三角形の頂点が、中段の三角形の底辺中央に接するよう、配列されている。また、白色の三角文は、後室奥の壁の上段と中段にしか描かれていないが、赤色の三角形は、後室入口の上部にも描かれている。

 横穴からは貴重な遺物も出土した。国内最大とされる金銅製馬鈴(こんどうせいばれい)をはじめ、勾玉(まがたま)や管玉(くだたま)棗玉(なつめだま)、青銅製釧(せいどうせいくしろ)、耳輪などの装飾品が385点、鉄鏃(てつぞく)や刀子(とうす)、小札(こざね)などの武器武具が747点、鞍金具(くらかなぐ)や壺鐙(つぼあぶみ)、鉄地金銅張雲珠(てつじこんどうばりうじゅ)、鉄地金銅張杏葉(てつじこんどうばりぎょうよう)などの馬具が169点、土師器(はじき)や須恵器(すえき)などの土器、珠文鏡(儀鏡)など遺物が多量に見つかっている。

 いわき市教育委員会では、横穴を保存する一方、広く文化財に親しんでもらう目的で観覧時間を決め、無料で公開している。5月〜10月の第2日曜日で、時間は午後1時〜3時。問い合わせは文化課・電話0246(22)7544、ファクス0246(22)7552。

 

 ■「海に関する小さな童話コンクール」

 「海に関する小さな童話コンクール」は、県立海洋文化・学習施設建設促進期成同盟会とアクアマリンふくしまオープン記念事業実行委員会が主催、市教育委員会、いわき商工会議所、財団法人ふくしま海洋学習館などが後援した。平成12年7月15日、小名浜港2号ふ頭に開館する、ふくしま海洋科学館(愛称アクアマリンふくしま)のオープンを機に、いわきの地域振興を図るのが目的だった。

 対象は、海や魚をテーマとした未発表の創作童話。分量は400字詰め原稿用紙2〜6枚程度。子供(小・中学生)と一般の2部門があり、雑誌やインターネット、新聞などを通じ、平成11年9月1日〜11月30日の期間で全国公募した。

 この結果、子供の部に367作品、一般の部に897作品の計1,264作品が寄せられた。最年少は6歳の小学1年生。最年長は83歳のお年寄り。島根県をのぞく全国から応募があり、海外からも、中国、カナダ、スイスから寄せられた。

 審査委員を務めたのは、神山敬章(いわき明星大助教授)、氏家武夫(市暮らしの伝承郷館長)、九頭見淑子(童謡の街づくりをすすめる会・ほのぼの22会長)、吉田隆治(いわき地域学會幹事)、夏井芳徳(市教委文化課係長)さんの5人。1次審査(平成11年12月20日)、2次審査(平成12年2月18日)をへて、いわき市立草野小1年・大平沙緒里ちゃん(7つ)の「あかちゃんイルカのおまつり」を子供の部の、埼玉県和光市の派遣社員・高橋眞智子さん(35)の「海の色は、ほほえみ色」を一般の部の、それぞれ最優秀賞に選んだ。

 表彰式は平成12年3月26日、小名浜港1・2号ふ頭で開かれた「アクアマリンふくしま海洋文化交流会」のイベントとして、アクアマリンふくしま館内の多目的ホールで行われた。沙緒里ちゃんには、賞状と図書券5万円分、高橋さんには賞状と賞金10万円が贈られた。

 入賞作品と寸評は次の通り。

◆子供の部

賞名
作品名
作者名
年齢
在住
学校等
最優秀賞
あかちゃんイルカのおまつり 大平 沙緒里
7
いわき市 いわき市立草野小1年
優秀賞
ぼくって誰? 松江 千広
10
いわき市 いわき市立宮小4年
坂本 真美
10
志賀 美由貴
10
うみ 石橋 未雪
7
いわき市 いわき市立草野小1年
うみぼうず物語 根本 尚依
15
いわき市 いわき市立草野中3年
魚のプーちゃん大冒険 矢吹 さおり
12
いわき市 いわき市立赤井小6年
雲からのメッセージ 長本 英理香
8
京都市 京都教育大付属京都小2年

寸評:最優秀賞の「あかちゃんイルカのおまつり」は、イルカの赤ちゃんが生まれて、海の仲間達がお祭りをしてお祝いするという、こどもらしい、かわいい作品である。また、アクアマリンふくしまの誕生を市民みんなでお祝いするという趣旨とも重なり合う。

◆一般の部

賞名
作品名
作者名
年齢
在住
職業
最優秀賞
海の色は、ほほえみ色 高橋 眞智子
35
埼玉県和光市 派遣社員
優秀賞
海の赤ちゃん 長谷川 洋子
52
愛知県知多市 主婦
うみぼうずのだぢづでどん 山崎 朋子
31
神奈川県伊勢原市 主婦
バケツの海 松本 一洋
(岩羽はるばる)
27
千葉県流山市 児童擁護職員
タツノオトシゴのカイ 兼原 直人
(原 直人)
41
山口県阿武町 フリーター
おさかなアパート太陽丸 林 直子
38
山口県徳山市 主婦

寸評:最優秀賞の「海の色は、ほほえみ色」は、海の色が青一色ではなく、いろいろな色がまじりあっているという発見を通して、自然の神秘さ、すばらしさを教えてくれる作品である。

 

 ■吉田健一さん初歌集 『孵化(ふか)』

 いわき市遠野町滝字島廻1、公務員吉田健一さん(46)が、葉文館出版から初歌集『孵化(ふか)』を出した。本紙に執筆している川柳でもおなじみの吉田さん。自身が卵から孵化し、ひなとなって育ち、羽ばたいていく願いを込めて名付けた歌集だが、中には、気負わず、自然体の吉田さんが詠んだ歌の世界が広がっている。

 吉田さんが短歌を始めたのは、42歳の誕生日が間近に迫った平成7年の正月。こたつに寝そべり、新聞を眺めていて短歌欄がふと目にとまり、「自分にもつくれるのでは」と思ったのがキッカケだった。小さいころから、言葉には興味があり、中国語を学び、小説も書いていた吉田さん。最初は全くの自己流だったが、翌年には、縁あって塔短歌会に入会。主宰の永田和宏さん、選者の河野裕子さんらの指導を受けるように。平成9年11月には、短歌部門で県文学賞を受賞した。

 初歌集の出版は、葉文館の勧めもあって決意した。短歌を始めてから今年8月まで、約4年半に詠んだ作品は約1,500首。この中から、歌誌「塔」や新聞の短歌欄で発表した366首を収録した。短歌は自己満足では駄目で、一度だれかの目を通ったものを厳選。また、閏年の平成12年に一日一首ずつ詠んでもらえるよう、掲載する数もこだわった。

 「春の雪もう降らぬらし母鶏(ははどり)の腹の下にて孵化待つ卵」。歌集は、この第一首から始まる。何気ない日常、情景が浮かぶ美しい自然、すくすくと成長する子供たちの様子などが、「孵化」「潮風通り」「晩年」「メルヘン」「大陸」など、テーマ別に構成されて掲載されている。硬い表現もあれば、ちょっと無理した恋の歌、ユーモアのある仕事や家族の話など、バラエティに富んだ内容に。「灼熱の砂丘にわれが斃るるを心躍らせ待ちゐるか鳥」。鳥に始まり、鳥に終わる形で、最後はこの一首が締めくくっている。

 「多くの素材を提供してくれている子どもたちの成長記録でもある。短歌をやっている人は何かの参考に、そうじゃない人は、ある中年男性のつぶやきと思ってくれれば」と吉田さん。平成11年11月27日発行。1000部。本体1,600円。問い合わせは吉田さん(89)2628まで。



 ■Media-Message

○ 第1回 メディアへの復讐(1) 1998年4月 3日号
○ 第2回 メディアへの復讐(2) 1998年5月 8日号
○ 第3回 メディアへの復讐(3) 1998年6月12日号
○ 第4回 メディアとしての兵器 1998年7月10日号
○ 第5回 言葉(キーワード)を巡って 
     --流動化するメディア環境 
1998年8月14日号
○ 第6回 言葉(キーワード)を巡って 
     --「グローバル・スタンダード」
1998年9月4日号
○ 第7回 「よく喋る容疑者」 1998年10月9日号
○ 第8回 「メディアと政治的距離感」 1998年11月6日号
○ 第9回 「スポーツ・ジャーナリズムは機能しているか」 1998年12月11日号
○ 第10回 「マス・メディアが映す地方政治」 1999年1月8日号
○ 第11回 「IOC改革は間に合うか」 1999年2月12日号
○ 第12回 「統一地方選挙とマス・メディア」 1999年4月2日号
○ 第13回 「ニュース、ニュース・ショー」 1999年5月14日号
○ 第14回 「幸運なテレビ」 1999年6月18日号
○ 第15回 「巨大企業グループの誕生」 1999年7月23日号
○ 第16回 「TBSはおかしいのか」 1999年8月20日号
○ 第17回 「情報と人間、関係」 1999年10月1日号
○ 第18回 「幸運なテレビ」 1999年10月29日号
○ 第19回 「「やらせ」は社会的事件か?」 1999年12月3日号
○ 第20回 「憶測報道」 2000年1月7日号
○ 第21回 「石原礼讃」 2000年3月24日号
○ 第22回 「少年犯罪と犯罪報道の責任」 2000年5月5日号
○ 第23回 「神の国発言は失言か?」 2000年6月23日号
   
○ 第25回 「無責任」 2000年8月11日号


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